「締切ギリギリまで手がつけられない」「何度確認してもケアレスミスが出る」「報連相のタイミングが分からない」「電話を取ると全部が止まる」——大人になってから、仕事の場面でこうした困りごとが積み重なり、「自分は社会人として何かが人と違うのではないか」と悩む方は少なくありません。
注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある方にとって、こうした困りごとは「やる気」や「性格」の問題ではなく、特性と環境のかみ合わせの問題であることが多いものです。かみ合わせの問題であれば、工夫と環境調整で変えられる余地があります。
このページは、当院ブログの連載「大人の発達障害と仕事」「大人の発達障害と暮らし・お金」「発達障害と女性・家族」の総目次です。困りごとの側から記事を探せる「逆引きガイド」として作りました。全部を順番に読む必要はありません。いま一番困っていることに近い項目から、必要な記事だけ拾い読みしてください。
この連載の考え方
連載の各記事は、共通して次の流れで書いています。
- 困りごとの場面——「あるある」と思える具体的な場面から始めます
- なぜ起こるか——ADHD・ASDのどんな特性が関わっているかを整理します
- 昔からの知恵——道具やアプリに頼らなくてもできる、原理に基づいた工夫
- 2026年のやり方——スマホの集中モード、リマインダー、タスク管理アプリなど、いまの道具での実践
- AIに手伝ってもらう——対話型AIをそのまま使えるプロンプト例つきで紹介します
「精神論で頑張る」のではなく、忘れても・気が散っても・言葉に詰まっても大丈夫な仕組みを外側に作る——これが連載全体を貫く考え方です。
困りごとから探す——仕事の段取り・ミス編
締切が迫っているのに手がつけられない。「あとでやろう」が積み重なる。 → 先延ばし・締切が守れないときの対策
仕事に集中できない。気づくとネットを見ている。逆に没頭しすぎて時間が消える。 → 集中できない・過集中してしまうときの対策
見直したはずなのに誤字・計算ミス・添付忘れ。ケアレスミスが減らない。 → ケアレスミスが減らないときの対策
メモを取っても後で読めない・見返さない。会議中は書くことに追いつけない。 → メモが取れない・活かせないときの対策
何から手をつければいいか分からない。段取りを組むと固まってしまう。 → 優先順位・段取りがつけられないときの対策
電話が鳴ると作業が全部飛ぶ。聞きながらメモが取れない。同時進行が苦手。 → 電話対応・マルチタスクが苦手なときの対策
困りごとから探す——コミュニケーション・人間関係編
報告・連絡・相談のタイミングが分からない。報告すると「なぜ早く言わない」と言われる。 → 報告・連絡・相談が苦手なときの対策
会議で話が聞き取れない。発言のタイミングがつかめず、一言も話せずに終わる。 → 会議が苦手(聞き取れない・発言できない)ときの対策
分からないことを質問できない。人に頼れず、一人で抱え込んでしまう。 → 質問できない・人に頼れないときの対策
雑談の輪に入れない。悪気はないのに相手を怒らせてしまう。「愛想がない」と言われる。 → 職場の人間関係・雑談がつらいときの対策
困りごとから探す——就職活動・転職編
自分の得意・苦手が分からない。どんな仕事が向いているのか分からない。 → 自己理解——得意・苦手と向いている仕事の見つけ方
就活・転職を何から始めればいいか分からない。スケジュールが立てられない。 → 就活・転職の進め方——全体の流れ・スケジュール・お金
履歴書や職務経歴書が書けない。自己PRが思いつかない。 → 履歴書・職務経歴書・自己PRが書けないときの対策
面接で頭が真っ白になる。何を聞かれているのか分からなくなる。 → 面接が苦手なときの対策
障害のことを職場に伝えて働くか、伝えずに働くか迷っている。 → オープン就労とクローズ就労の違いと選び方
一人での就活が不安。どこに相談すればいいか分からない。 → 就労移行支援・ハローワークなど支援機関の使い方
困りごとから探す——お金編
衝動買い・無駄遣いがやめられない。 → 衝動買い・無駄遣いをしてしまうときの対策
家計簿が三日坊主で終わる。お金の流れが把握できない。 → 家計簿が続かない・家計管理が苦手なときの対策
引き落とし日を忘れて残高不足になる。支払いを先延ばしにしてしまう。 → 支払い忘れ・残高不足を防ぐ工夫
リボ払いや借金がふくらんでしまった。 → リボ払い・借金がふくらむときの対策と相談先
貯金がまったくできない。積立を始めても続かない。 → 貯金できない・積立が続かないときの対策
困りごとから探す——暮らし編
遅刻が直らない。楽しみな予定にすら遅れてしまう。 → 遅刻してしまうときの時間管理
朝起きられない。身支度に時間がかかって毎朝バタバタする。 → 朝起きられない・身支度に時間がかかるときの対策
片付けられない。部屋が散らかって探し物ばかりしている。 → 片付けられないときの対策
家事が回らない。やることが多すぎて手がつかない。 → 家事が回らないときの対策
物をなくす。鍵・財布・スマホをいつも探している。 → 物をなくす・探し物が多いときの対策
困りごとから探す——勉強・資格編
資格勉強の計画が立てられない。立てても計画どおりに進まない。 → 勉強の計画が立てられないときの対策
勉強に集中できない。机に向かっても気が散ってしまう。 → 勉強に集中できないときの環境づくり
社会人の学び直しがうまくいかない。試験本番で実力が出せない。 → 社会人の資格勉強・試験本番の対策
困りごとから探す——女性・家族編
家事・身だしなみ・ママ友付き合いなど、女性ならではの場面がつらい。 → 女性の発達障害の生きづらさと暮らしの工夫
結婚・妊娠・育児のライフイベントを前に不安がある。 → 結婚・妊娠・育児のライフイベントと発達障害
パートナーが発達障害かもしれない。どう向き合えばいいのか分からない。 → パートナーが発達障害かもしれないときの向き合い方
家族としてどう接すればいいのか。よかれと思った言葉で本人を追い詰めていないか不安。 → 家族の接し方——本人を追い詰めない伝え方と仕組みづくり
当院での実際/受診の目安
この連載は「まず自分でできる工夫」を紹介するものですが、工夫だけで抱え込む必要はありません。次のような状態が続くときは、受診をご検討ください。
- 工夫を試しても、仕事のミスや対人関係のつまずきが続き、生活や仕事に支障が出ている
- 「また失敗した」という思いが積み重なり、気分の落ち込み・不安・不眠が続いている
- 職場に行こうとすると体調を崩すなど、心身の不調が仕事に結びついている
当院での診療について、よくご質問いただく点をご案内します。
- ご予約はデジスマのWEB予約からお取りいただけます。初診の方には受診前にWEB問診にお答えいただいており、当日は問診内容をもとに診察を進めます。初診の所要時間は30分程度が目安です。
- 通院の頻度は、基本を2週間に一度としています。困りごとの経過を確認しながら、対処の工夫や環境調整、必要に応じた治療をご相談していきます。
- 休職が必要な場合の診断書は、1か月ごとに状態を診察で確認しながら作成しています。
緊急のとき——自分や他人を傷つけてしまいそうな切迫した状態のときは、様子を見ずに、救急(119)への連絡や、かかりつけの医療機関への相談を行ってください。
まとめ
大人の発達障害の困りごとは、「本人の努力不足」ではなく、特性と環境のかみ合わせの問題として捉え直すことで、打てる手が見えてきます。このページをブックマークして、困りごとにぶつかったときの「逆引き辞典」としてお使いください。
そして、工夫だけで抱え込まず、生活や仕事への支障が続くときは、どうぞ診察でご相談ください。困りごとを一緒に整理するところから、お手伝いします。
執筆・監修:精神保健指定医 野口晋宏
よくある質問
診断を受けていなくても、この連載の工夫を試してよいですか?
かまいません。この連載で紹介している工夫の多くは、診断の有無にかかわらず「仕事がうまく回らない」と感じている方に役立つ、実践的な仕事術です。ただし、工夫を重ねても生活や仕事への支障が続く場合や、気分の落ち込み・不眠などの不調が重なっている場合は、工夫だけで抱え込まず、精神科・心療内科への受診をご検討ください。
自分の困りごとがADHDによるものかASDによるものか分かりません。どの記事から読めばよいですか?
特性の分類から入る必要はありません。この総目次は「締切が守れない」「会議が苦手」といった困りごとの側から記事を探せるように作っていますので、いま一番困っている場面に近い記事からお読みください。実際には、ADHDとASDの特性は一人の方のなかに重なって見られることも多く、対処の工夫は共通する部分が少なくありません。
工夫を試してもうまくいきません。受診したほうがよいのでしょうか?
工夫は万能ではありません。環境との相性や体調によってはうまく機能しないこともありますし、うつ状態や不安、不眠が背景にあると、工夫を実行する力そのものが落ちてしまいます。仕事のミスや対人関係の悩みが続いてつらい、二次的に気分が落ち込んでいる、という状態が続くときは、一度診察でご相談ください。当院はデジスマのWEB予約からご予約いただけます。
どの連載から読めばよいですか?
現在、「大人の発達障害と仕事」(仕事の実務と就活・転職)、「大人の発達障害と暮らし・お金」(暮らし・お金・勉強)、「発達障害と女性・家族」の3つの連載があります。順番に読む必要はなく、この総目次からいま一番困っている場面の記事を選んでお読みください。