福岡県春日市須玖北4丁目34 2階
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連載「傷病手当金の実務ガイド」第1回(全7回)

はじめに

「もう限界かもしれない。仕事を休みたい」——そう思ったとき、実際に休職するためにまず必要になるのが医師の診断書です。

ただ、初めての方にとっては「どうやってもらうのか」「その日にもらえるのか」「いくらかかるのか」「もらった後どうすればいいのか」、分からないことだらけだと思います。この記事では、心療内科で休職診断書を受け取るまでの流れと、受け取った後にやることを、順を追って説明します。

休職診断書をもらうまでの流れ

1. 受診の予約をする

まずは心療内科・精神科を受診します。当院はWEB予約で24時間ご予約いただけます。体調が悪くて働けない状態が続いているなら、できるだけ早めの受診をおすすめします。受診が遅れると、その分だけ「医師が状態を確認できていない期間」が延び、後の傷病手当金の申請で証明できる期間にも影響します(詳しくは「労務不能と認めた期間」の記事へ)。

2. 診断書の希望は、事前のWEB問診票に書いておく

当院では、診断書をご希望の方は事前のWEB問診票に「休職のための診断書を希望」とご記載ください(受付へのお申し込みは不要です)。どの書類が必要か分からない場合も、問診票に用途を書いていただければ、診察のなかで一緒に確認します。

3. 診察——「休職が必要か」を一緒に判断する

診察では、症状の内容や経過、仕事や生活への影響を伺ったうえで、休職が必要な状態かどうかを医学的に判断します。

大切なのは、診断書は「頼めば書いてもらえる書類」ではなく、医師の医学的判断にもとづく証明書だということです。事実と異なる記載はできませんし、診察の結果、休職よりも通院しながらの勤務調整が適していると判断されることもあります。逆に、ご本人が「まだ頑張れます」とおっしゃっていても、医師の目から見て休養が必要な状態のこともあります。迷っている段階でも、まずは率直に状況をお話しください。

診察で伝えるとよいこと——「症状」と「仕事」をセットで

休職の判断で医師が知りたいのは、症状そのものに加えて、その症状が仕事にどう影響しているかです。精神科の書類作成に関する専門書でも、休職の判断は診察室での症状だけでなく、実際の職務内容や勤務環境をふまえて総合的に行うべきだとされています。次のようなことを、思い出せる範囲でメモにして持ってきていただくと、診察がスムーズになります。

  • いつ頃から、どんな不調があるか——眠れない、食欲がない、朝起き上がれない、涙が出る、など
  • 仕事への影響——遅刻・欠勤が増えた、ミスが増えた、集中できない、判断に時間がかかる、通勤の途中で動けなくなる、など
  • 仕事の内容——どんな業務か、残業の状況、人間関係や業務量の変化など、不調のきっかけになっていそうなこと
  • 生活への影響——家事ができない、休日も横になって過ごしている、など

「うまく説明できるか不安」という方も多いですが、きれいにまとめる必要はありません。事実を断片的にでも伝えていただければ、整理するのは医師の仕事です。当院は初診前のWEB問診でもこうした内容を伺っていますので、書ける範囲で書いておいていただくだけでも助けになります。

4. 発行——当院書式は原則当日

当院書式の普通診断書(休養の必要性の証明など)は、原則当日発行できます。料金は自己負担で税込3,300円です。部署異動やお試し出社の必要性など文章の追加が必要な場合は4,400円で、これまでの治療内容の参照が必要なときは3〜7日いただくことがあります。書類ごとの料金と日数は診断書料金・作成日数にまとめています。

診断書には何が書かれるのか——「労務不能」の考え方

休職用の診断書には、一般的に病名(診断名)と、「◯月◯日から◯か月間の休養(自宅療養)を要する」といった内容が記載されます。

ここで医師が証明しているのは、病名そのものというより、「今の状態では働くこと(労務)が難しい」という医学的な判断です。同じ病名でも、症状の程度や仕事の内容によって「働けるかどうか」の判断は変わります。だからこそ、前の節で書いたように、症状と仕事の状況をセットで伝えていただくことが大切なのです。

なお、休職用の診断書と、後で出てくる傷病手当金の申請書類は別のものです。診断書は会社に「休養が必要な状態」を伝えるための書類、傷病手当金の申請書は健康保険に「労務不能だった期間」を医師が証明するための書類で、書式も提出先も異なります。どちらも医師が「働ける状態かどうか」を判断する点は共通しています。

病名の記載が心配な方(会社に詳しい病名を知られたくない等)は、診察のときにご相談ください。記載内容は医学的判断にもとづくため希望どおりにできるとは限りませんが、事情をふまえて一緒に考えることはできます。

診断書の「期間」はどう決まるのか

休職診断書には「◯か月間の休養を要する」といった期間が記載されます。

当院では、休職の診断書は原則1か月ごとに作成しています。 毎月の診察で回復の経過を確認しながら、休職の延長が必要か、そろそろ復職の準備に入れそうかを、その都度判断していく方針です。最初から長い期間をまとめて書くより、状態の変化に合わせて見直していくほうが、回復の段階に応じた適切な判断ができると考えているためです。精神科の書類作成の専門書でも、休養の診断書は一度に長期間を書かず、経過をふまえて改めて判断していくほうが医学的に妥当性が高いとされています。

「1か月ごとだと、毎回もらいに行くのが大変では」と感じるかもしれませんが、休職中はもともと定期的な通院が治療の柱になります(当院では2週間に一度)。診断書の更新は、その通院の中で経過を確認しながら行うので、診断書のためだけに別の受診が増えるわけではありません。

なお、休職を続ける場合は、診断書と診断書の間に空白ができないように注意が必要です。たとえば6月30日までの診断書が出ている場合、7月以降も休職するなら、6月中に受診して次の診断書を作成しておく必要があります。

また、日付を過去に遡って書くことはできません。医師が記載できるのは診察で状態を確認した期間だけだからです(詳しくは休職についてのFAQもご覧ください)。

診断書をもらった後にやること

1. 会社に連絡し、診断書を提出する

人事・総務などの担当部署に連絡し、休職したい旨を伝えて診断書を提出します。提出方法は会社によりますが、必ずしも出社して手渡しする必要はありません。体調的に出社がつらい場合は、郵送でも差し支えないか確認しましょう。

2. 休職の条件を確認しておく

このとき、あわせて確認しておきたいのが次の3点です。

  • 休職できる期間の上限(就業規則で決まっています。満了時の扱いも)
  • 休職中の給与の有無(無給の場合は傷病手当金の対象になり得ます)
  • 休職中の連絡方法(誰と・どのくらいの頻度でやりとりするか)

3. 給与が出ない場合は、傷病手当金を申請する

休職中が無給の場合、健康保険の傷病手当金(給与のおよそ3分の2・通算1年6か月まで)を申請できる場合があります。申請の流れ・条件・金額は傷病手当金についてにまとめています。振込までの日数の目安はこちらの記事をどうぞ。

4. 療養に専念する——通院は「治療」と「証明」の両方のため

手続きが一段落したら、あとは休むことが仕事です。休職中の通院は、当院では2週間に一度をおすすめしています。

定期的な通院には、2つの意味があります。1つは治療そのもの。休職初期はまず休養を優先し、回復に応じて生活リズムを整え、少しずつ活動を増やしていきます。その経過を診察で確認しながら、次の一歩を一緒に決めていきます。

もう1つは、書類の証明を途切れさせないためです。傷病手当金の申請書には、医師が「労務不能と認めた期間」とその間の症状・経過を記載する欄があります。医師が証明できるのは診察で状態を確認できていた期間だけなので、通院の間隔が大きく空くと、「療養中だった」ことの証明が難しくなり、保険者(健康保険)から医療機関に問い合わせが入ることもあります。体調がつらくて足が遠のきそうなときこそ、その状態を診察で見せていただくことが証明につながります。

休職期間の過ごし方は休職中の過ごし方で詳しく整理しています。

よくあるつまずきポイント

  • 「休みたい」と言い出せないまま悪化する——診断書は、自分からは言い出しにくい休養の必要性を、客観的に会社へ伝える橋渡しにもなります。
  • 診断書の期限切れに気づかない——次の診断書は期限が切れる前の受診で。カレンダーやリマインダーに入れておくのがおすすめです。
  • 休職の上限期間を把握していない——会社が自動的に教えてくれるとは限りません。就業規則を確認し、主治医にも伝えておくと、復職までの計画が立てやすくなります。

つらい状態を我慢し続ける必要はありません。「休職するほどかどうか分からない」という段階でも、まずは一度ご相談ください。

参考: 当院の初診の流れ・持ち物・費用は初めての方へをご覧ください。

よくある質問

初診の当日に休職の診断書をもらえますか?

当院では、診察の結果、医師が休職を必要と判断し、患者さんご自身も休職を希望される場合、当院書式の診断書を原則当日発行できます。診断書をご希望の場合は、事前のWEB問診票にその旨をご記載ください。ただし、記載は医師の医学的判断にもとづくため、診察の結果によっては発行できないこともあります。

診断書には何と書かれますか?会社に病名を知られたくないのですが。

休職用の診断書には、一般的に病名(診断名)、休養を要する旨、その期間などが記載されます。病名の記載について心配なことがある場合は、診察のときにご相談ください。なお、傷病手当金や自立支援医療などの申請書類とは書式も提出先も異なります。

休職の診断書はどのくらいの期間で書いてもらえますか?

当院では、休職の診断書は原則1か月ごとに作成し、毎月の診察で状態を確認しながら、延長が必要かどうかを判断していきます。長い期間を一度に書くより、経過に合わせて見直していくほうが、回復の段階に応じた判断ができると考えているためです。

診断書を出したら休職は必ず認められますか?

休職を認めるかどうか、どのくらいの期間休職できるかは、会社の就業規則によって決まります。診断書は「休養が必要な状態である」ことを医学的に示す書類で、休職を確定させる書類ではありません。休職可能な期間や休職中の給与の扱いは、会社の人事・総務に確認しておきましょう。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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