福岡県春日市須玖北4丁目34 2階
休診日: 水曜・木曜・日曜・祝日

ASDは、対人面での困難やこだわりといった特徴が生まれつきあり、それが続いていく発達障害です。
ポイントは、これらの特徴が子どもの頃から続いていることです。幼少期から人間関係がうまくいかないなどの困りごとがあり、それが大人になっても解消されないまま続くため、受診される方が多くいらっしゃいます。

ASD(自閉スペクトラム症)の症状

ASDの症状は主に以下の3つがあります。

  1. 対人面の困難:相手の感情や場の空気を読むことが苦手で、集団でやりづらさを感じることがあります。
  2. こだわり:細かいことにこだわりすぎて、急な変化に混乱することがあります。
  3. 二次障害:不適応などが続いた結果、ストレスがたまり、落ち込みや対人不安などの二次的な心の不調が出ることがあります。

症状①:対人面の困難(社会性の障害)

対人面の困難は、相手の感情が読み取りにくいことから、会話や集団場面で表れます。
たとえば、場の空気を読まない失言をしてしまったり、はっきり言葉にされない暗黙のルールに戸惑ったりします。
その結果、人間関係をうまく築けず、孤立してしまうことがあります。
また、目が合いにくく表情も硬いため、第一印象で実際よりも低く評価されてしまうこともあります。

症状②:こだわり

こだわりの症状では、細かいことにこだわりすぎて、柔軟な対応が難しくなることがあります。
たとえば、自分のルールを押し通そうとしてトラブルになったり、急な予定変更に混乱したりします。
細かい部分に執着するあまり、相手のミスを強く責めてしまい、人間関係がこじれることもあります。

症状③:二次障害

二次障害は、ASDそのものの症状ではなく、ストレスなどによって生じる二次的な不調です。慢性的な落ち込みや対人不安、引きこもりにつながることがあります。
環境に左右されやすいため、対策がとても重要になります。

ASD対策の3本柱

ASD対策の3本柱は以下の通りです。

  1. 生活面の工夫:弱点をカバーしながら特性の強みを生かします。
  2. 薬の治療:ASDそのものへの薬はありませんが、ADHDや二次障害に対する薬を使います。
  3. 福祉制度の活用:特性を理解しながらサポートを受けて適応を図ります。

対策①:生活面の工夫

生活面の工夫は、診断を受けた方はもちろん、いわゆるグレーゾーンの方にも役立ちます。
弱点をカバーしながら、強みを生かしていくことが大切です。

対人面のカバー

場の空気を何となく感じ取ることが難しい場合は、理詰めで「この場面ではこう動くのが適切だろう」と推測し、行動を補っていきます。

表情のカバー

感情表現が得意な人を観察し、その振る舞いを真似ること(モデリング)でカバーします。

強みの生かし方

こだわりの強さは、ぶれずに最後までやりきる力に変えられます。空気を読みづらいことも、見方を変えれば、周囲の雰囲気に振り回されずに行動できる力として生かせます。
たとえば、細部まで丁寧にこだわれることは、正確さや品質が求められる作業で頼りになる強みになります。特性は弱みにも強みにもなりうるもので、どんな場面で力を発揮しやすいかを知っておくことが助けになります。

対策②:薬の治療

ASDそのものに効く薬はありませんが、ADHDを合併している場合には、その治療薬が役立ちます。
また、二次障害に対しては、抗うつ薬や睡眠薬などが効果を示すことがあります。

対策③:福祉制度の活用

福祉制度の活用には、以下のような方法があります。

  1. 障害者雇用:ASDの特性に合わせた合理的配慮とサポートを受けながら、適応を図ります。
  2. 就労移行支援:最大2年間、週3回から5回通所し、自分の特性を理解しながらカバー方法を身につけ、合う職場を探します。

まとめ

今回は、ASD(自閉スペクトラム症)について整理しました。
ASDは対人面での困難やこだわりを特徴とし、対策の柱となるのは生活の工夫、薬物療法、福祉制度の活用の3つです。
早めの対応と、続けていけるサポートが効果的です。
一人で抱え込まず、困っている場面を整理して相談してみることが、対策の第一歩になります。

参考文献

e-ヘルスネット:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

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