福岡県春日市須玖北4丁目34 2階
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「薬を飲み始めてから、日中ずっと眠い。会議中にまぶたが落ちそうになる」「体が重だるくて、仕事の能率が上がらない。薬のせいなのか、病気のせいなのかもわからない」――精神科・心療内科の薬を飲み始めた方から、よくうかがう悩みです。

眠気やだるさは、精神科の薬でしばしば経験される変化のひとつです。多くは飲み始めや増量の直後に出やすく、体が慣れるにつれて軽くなっていきますが、なかには生活や仕事に支障が続くケースもあり、その場合は薬の飲み方や内容を見直す余地があります。大切なのは、我慢し続けることでも、自己判断で薬を減らすことでもなく、その眠気を診察で正確に伝えて、医師と一緒に調整することです。

この記事では、薬による眠気・だるさの一般的な経過、病気そのものの症状との見分けの考え方、自己判断で減らすことのリスク、医師への伝え方のコツ、診察で検討される調整の選択肢、そして職場でできる現実的な工夫をお伝えします。

飲み始め・増量直後に出やすく、数週間で軽くなることが多い

精神科で使われる薬のなかには、眠気やだるさを感じやすいものがあります。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、気分安定薬、抗精神病薬など、種類を問わず起こりうる変化です。

知っておいていただきたいのは、出やすい時期があるということです。眠気・だるさは、薬を飲み始めた直後や、量を増やした直後に出やすい傾向があります。これは体がまだ薬に慣れていないためで、飲み続けるうちに体が慣れ、数日から数週間で軽くなっていくことが多いとされています。

一方、抗うつ薬などでは、肝心の効果のほうは実感まで数週間かかることが一般的です。つまり飲み始めの時期は、「効果はまだ感じられないのに、眠気だけ先に来る」という、いちばんつらい時期になりやすいのです。この時期の乗り越え方については、薬が効いているかわからないときの記事でも詳しく解説しています。

「数週間で軽くなることが多い」というのは、あくまで一般的な傾向です。強い眠気で仕事や生活が立ちゆかない場合や、数週間たっても改善しない場合は、我慢比べを続ける必要はありません。次の項目から、その見分けと相談の仕方をお話しします。

その眠気は薬のせいか、病気のせいか――見分けの視点

見落とされがちなのですが、日中の眠気やだるさは、薬ではなく病気そのものの症状であることも少なくありません。

  • うつ病では、強い倦怠感や「体が鉛のように重い」感覚がもともとの症状として現れます。若い方のうつ病では、眠っても眠っても眠い「過眠」の形をとることもあります。
  • 不眠が続いていれば、夜眠れていないこと自体が日中の眠気の原因になります。
  • 睡眠時無呼吸症候群など、別の睡眠の問題が隠れていることもあります。

薬のせいか病気のせいかで、対応は変わります。薬の影響なら飲み方や量の調整が中心になりますし、病気の症状なら、むしろ治療をしっかり進めることが眠気の改善につながります。夜の睡眠に問題があるなら、そちらへの対応が優先されるかもしれません。

見分けの手がかりになるのは、タイミングです。

  • 薬を始める前からだるさ・眠気があった → 病気の症状の可能性が高い
  • 薬を始めた・増やした時期と一致して強くなった → 薬の影響が考えやすい
  • 夜の睡眠時間や眠りの質が明らかに悪い → 睡眠の問題そのものの影響も考える

ただし、実際には両方が重なっていることも多く、ご自身で確定させる必要はありません。「いつから」「どんなときに」眠いのかという情報さえあれば、医師が経過から判断します。次の項目でお話しする「伝え方」が、そのまま見分けの材料になります。

自己判断で減らす・抜くことのリスク

眠気がつらいと、「今夜は薬を半分にしよう」「大事な会議の前日は抜こう」と、自分で調整したくなるかもしれません。しかし、自己判断での減量・中断はおすすめできません。理由は3つあります。

治療の効果が判定できなくなる

薬は、決められた量を続けて飲むことで効果を発揮し、医師はその前提で「効いているか」「量が合っているか」を判断しています。飲んだり飲まなかったりすると、効果が出ないのが「量が足りないせい」なのか「飲めていないせい」なのか区別がつかず、治療全体が回り道になります。

ぶり返しや中断による不調が起こることがある

薬の種類によっては、急に減らしたりやめたりすると、症状がぶり返したり、めまい・そわそわ感などの中断に伴う不調が出たりすることがあります。眠気を避けようとした調整が、かえって体調を崩す原因になりかねません。

「眠気がつらい」という大事な情報が医師に届かなくなる

これが最も大きな問題です。眠気やだるさは、医師にとって薬を調整するための重要な判断材料です。自分で減らしてしのいでしまうと、医師は「問題なく飲めている」と認識したまま治療を進めることになり、本来できたはずの調整の機会が失われます。

つらさを感じたときにやるべきことは、薬を自分で調整することではなく、そのつらさを次の診察に持ち込むことです。緊急性のある強い不調の場合は、次の予約を待たず医療機関に連絡してください。

医師への伝え方――「眠いです」だけで終わらせない

診察で「眠気はどうですか」と聞かれて「まあ、少し眠いです」とだけ答えると、医師には深刻さが伝わりません。調整の判断につながる伝え方のポイントは、いつ・どのくらい・生活にどう影響しているかを具体的にすることです。

  • いつから: 「薬を飲み始めた翌日から」「量が増えた週から」「薬を始める前からずっと」
  • どの時間帯に: 「午前中がいちばん強く、午後は少しまし」「一日中」「昼食後に耐えられなくなる」
  • どのくらい: 「会議中に実際に居眠りしてしまった」「デスクで座っていられないほど」「眠いが仕事はこなせている」
  • 生活・仕事への影響: 「ミスが増えて上司に指摘された」「運転が不安で車通勤をやめた」「帰宅後すぐ寝てしまい家のことができない」

診察までのあいだ、スマートフォンのメモなどに「日付・眠気の強さ・困った場面」を簡単に記録しておくと、正確に伝えやすくなります。「眠気で困っているが、薬を勝手に減らしたくないので相談したい」と最初に言っていただければ、医師はその前提で調整を考えられます。

なお、眠気のあるあいだの車の運転については、薬の種類や状態によって注意が必要です。運転との付き合い方は精神科の薬と運転の記事で詳しく解説していますので、通勤や仕事で運転する方は必ずあわせてお読みください。

診察ではどんな調整が検討されるのか

眠気・だるさの相談を受けたとき、医師が検討する選択肢には、おおまかに次のようなものがあります。いずれも、症状の経過や薬の種類をふまえた医師の判断で行うものであり、ここに挙げるのはあくまで概観です。

  • 服薬のタイミングの見直し: 眠気の出やすい薬を夕食後や就寝前に寄せるなど、飲む時間を変えることで日中への影響を減らせる場合があります。
  • 量の調整: 効果を保ちながら眠気を減らせる量がないか、段階的に探ることがあります。
  • 薬の種類の見直し: 同じ目的でも眠気の出方には薬ごとの違いがあり、別の薬への変更が検討されることもあります。
  • もう少し様子を見る: 飲み始めて日が浅く、効果がこれから期待できる場面では、体が慣れるのを待つ判断になることもあります。その場合も「いつまで様子を見るか」の目安を共有してもらえるはずです。

どの選択肢をとるかは、眠気のつらさと、その薬から得られている(これから期待される)効果とのバランスで決まります。だからこそ、前の項目でお話しした「具体的な伝え方」が、あなたに合った調整につながるのです。

職場でできる現実的な工夫

薬の調整と並行して、職場での過ごし方の工夫も助けになります。

  • 眠気の時間帯を避けて仕事を配置する: 眠気が強い時間帯には単純作業や体を動かす作業を、頭が働く時間帯に集中力の要る作業を置く。
  • 昼休みの短い仮眠: 10〜20分程度の短い仮眠は、午後の眠気対策として現実的です。長く眠りすぎるとかえってだるくなるため、短めに切り上げます。
  • こまめに体を動かす: 座りっぱなしを避け、立ち上がる・歩く・軽く伸びをする機会を意識的に挟む。
  • 危険を伴う作業は避ける: 眠気のあるあいだは、車の運転や機械の操作など、事故につながりうる作業を可能な範囲で避け、必要なら業務内容を調整できないか職場に相談する。
  • カフェインは補助程度に: 午前中のコーヒーなどは助けになりますが、夕方以降にとると夜の睡眠を悪くし、翌日の眠気を強める悪循環になります。

これらはあくまで「薬の調整と並行して行う工夫」です。工夫だけで長期間乗り切ろうとせず、つらさが続くなら診察で相談してください。

当院での実際

当院では、通院の頻度は2週間に一度を基本としています。眠気やだるさが出やすいのは飲み始めや増量の直後、つまり薬の調整中の時期です。2週間ごとにお会いすることで、「眠気がどう変わったか」「仕事への影響はどうか」をこまめに確認しながら、飲み方や量を早めに調整することができます。

また、初診では服用中の市販薬・サプリメントも確認しています。市販の風邪薬やアレルギーの薬など、精神科の薬以外にも眠気に影響するものがあるためです。飲んでいるものは、市販薬も含めてそのままお伝えください。

眠気やだるさで困ったことがあれば、遠慮なく診察のなかでお伝えください。

まとめ――眠気は「我慢するもの」ではなく「伝えて調整するもの」

精神科の薬による眠気・だるさは、飲み始めや増量の直後に出やすく、体が慣れるにつれて数週間で軽くなっていくことが多い変化です。一方で、うつ病の倦怠感や過眠のように、病気そのものの症状である場合もあり、見分けには「いつから・どんなときに眠いか」という情報が役立ちます。

つらいからといって自己判断で減らしたり抜いたりすると、治療が回り道になるうえ、体調を崩すもとになります。眠気は我慢するものでも、こっそり自分で対処するものでもなく、具体的に伝えて、医師と一緒に調整するものです。服薬のタイミング・量・種類の見直しなど、選択肢は複数あります。職場での仮眠や作業配置の工夫も、調整と並行して役立ちます。

すでに通院中の方は、まず主治医にご相談ください。命に関わる緊急の場合は、ためらわず救急(119)を利用してください。

当院は福岡県春日市の精神科・心療内科です。「薬の眠気で仕事に支障が出ているが、どう相談すればいいかわからない」という方の受診もお受けしています。受診をご希望の方は、WEB予約からご都合のよい日時をお選びください。

よくある質問

薬を飲み始めてから日中眠くてだるいのですが、いつまで続きますか?

個人差はありますが、飲み始めや増量の直後に出た眠気・だるさは、体が薬に慣れるにつれて数日から数週間で軽くなっていくことが多いとされています。ただし、いつまでも強い眠気が続く場合や、仕事や生活に大きな支障が出ている場合は、薬の内容や飲み方を見直す余地があるかもしれません。我慢し続けるのではなく、いつから・どのくらいの眠気が・生活にどう影響しているかを、次の診察で具体的に伝えてください。

眠気がつらいので、薬を自分で減らしたり夜だけ抜いたりしてもいいですか?

自己判断で減らしたり抜いたりすることはおすすめできません。量が不安定になると治療の効果が判定できなくなるうえ、薬の種類によっては急な減量・中断で症状のぶり返しや中断による不調が出ることがあります。眠気がつらいという事実は、薬を調整する大事な判断材料です。勝手に調整するのではなく、そのまま医師に伝えていただければ、服薬のタイミングや量、種類の見直しなど、安全な形での調整を一緒に検討できます。

この眠気は薬のせいですか?それとも病気のせいですか?

どちらの可能性もあり、区別が必要です。うつ病では倦怠感や過眠がもともとの症状として現れることがあり、薬を始める前からだるさがあったなら病気の症状の可能性が高くなります。一方、薬を始めた・増やしたタイミングと一致して眠気が強くなったなら、薬の影響が考えやすくなります。ご自身で確定させる必要はありません。「いつから」「どんな場面で」眠いのかをメモして診察で伝えていただければ、医師が経過から判断します。

仕事中の眠気について、職場でできる工夫はありますか?

薬の調整と並行して、職場での工夫も役立ちます。眠気が強い時間帯に集中力が必要な作業を置かない、昼休みに10〜20分程度の短い仮眠をとる、こまめに立ち上がって体を動かす、車の運転や危険な作業は眠気のあるあいだ避ける、などです。眠気で運転に不安がある方は、主治医に必ず相談してください。工夫だけで乗り切ろうとせず、つらさが続くときは診察で薬の調整を相談することが大切です。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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